私たちは神事の設営を長くやっているので時折こんな地鎮祭を目にするととても気になります。
たとえば・・・
そもそも竹を4本さして締め縄で囲むのは何のためでしょうか。
それは、神様に来ていただく神聖な場、神域を作るためです。
神様の場所ですから、私たちはそこに入ることはできません。神社でも参道を歩いたりお参りしたりすることはできますが、神様がいらっしゃるその場に私たちは入ることはできませんね。そこに足を踏み入れることができるのは神の遣いである神主などです。
ですから地鎮祭にしつらえた、竹と締め縄に囲まれたその中に私たちは安易に入ることはできないのです。ただし、お祓をすることで入ることができます。とはいえ「鍬入れ」をする建主など神域内に入る方は限られています。
それではここで正しいやり方をお伝えしましょう。
竹は敷地内のほぼ中央あたりに4本(二軒幅)の竹をさし正方形の場を作ります。そしてさらにその中央に、神様に来ていただく目印として竹を一本さします。これが正式なやり方です。
たとえば、屋根も壁もない家ってあるでしょうか?
テントや幕がないということは、屋根も壁もない家に神様をお呼びするようなものです。雨風吹き曝しの地に神様に来ていただくということですね。これでは神様に対する敬意も感謝も残念ながら感じられませんよね。
テントと幕を張り、神様のための神聖な場を作ることは地鎮祭を神事たらしめる基本的な要素です。
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さて、いかがですか? 今回は分かりやすい基本的なことを取り上げましたが、地鎮祭は神事ですから準備するもの一つ一つに、また式次第の内容や順番に厳格な意味があります。それを知らないためにやり方を間違えていたり、予算を最優先にして本来必要なものを省いたりしていませんか?それではそもそも地鎮祭として成立しません。
地鎮祭はやらなければいけないものというわけではありません。意味が伴わない、内容のない地鎮祭なら、それはお金や時間の無駄使いだとも考えられますね。それならやらなくてもよいのでは?
やるなら本物の地鎮祭をきちんと行って、皆さんの幸せを真に願いたいですね。
今回はちょっと辛口になりましたが、それだけ信念があるのだとご理解いただけたら幸いです。
次回からは地鎮祭の意味や流れについてお話ししていきましょう。
令和2年6月 藤原 宣雄